趣味の話題 ~「楽石庵閑話」~【第18話】宮古のドロマイト

「楽石庵閑話」~【第18話】宮古のドロマイト

前北光会事務局長の石山大三先生が鉱業博物館の館長に就任され、事務局在任中の支部活動に対するご支援に対するお礼と共に祝意を表したい。さて先生の研究成果として、上根市ドロマイトスカルンでのマグマ-炭酸塩岩の研究(資源地質誌 Vol48 No.2 1998)がよく知られている。学生時代に宮古一帯のドロマイト鉱床を訪れ小籐石等の特徴的な鉱物を採集したものには、この文献は宮古一帯のドロマイト鉱床を理解するための貴重な文献となっている。

この地域のドロマイト鉱床については、根市の小籐石や猿壁山のバスタム石等著名鉱物について文献は古くからあるが、本件研究では根市・根城等主要5鉱体のMgスカルン鉱物形成過程を総合的に研究し考察している。特に「硼酸塩鉱物の形成と流体の特徴」では、小籐石と共に産出する各種鉱物も含めその生成条件が詳細に述べられている。今回は根市産小籐石、根城産コンドロ石そして猿壁山のバスタム石を紹介したい。

小籐石 Mg3(BO3)2:1939年渡邊武男博士により北朝鮮の笏洞鉱山で発見され、ここを最初に調査した地質学者小藤文次郎に因み命名された。根市からの産出は各種硼素鉱物と共に1956年に発表されたが、自形結晶は示さず粒状結晶が方解石中に埋没して産出するため、肉眼では判別が難しい。

コンドロ石 (Mg,Fe2+)5(SiO4)2(F,OH)2:灰白色緻密な苦灰石中に橙色微粒のコンドロ石が点在し、マグマ固結末期にマグマ性流体に硼素と共に塩素が濃集したとされる。

バスタム石 (Mn2+,Ca)3Si3O9 : 閉伊川南側の猿壁山北面の根城一帯にドロマイト質石灰岩の小岩体が分布し、1956年に本産地等から淡桃色繊維状結晶の集合としてバスタム石の産出が発表されている。

【寄稿】坂本憲仁(BS45)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加