「楽石庵閑話」~【第7話】手稲鉱山
道南はかつて鉱山が集中しており、中でも手稲鉱山は多種の鉱物を産したことで知られ、手稲石は今でもマニア垂涎の日本産新鉱物である。ここは元々金銀鉱山として稼行されていたが、戦後は大幅に縮小され67年7月に友人と訪問したときは、三ツ山鉱床で銅鉱を細々と採掘している状況であった。それでも我々を快く受け入れてくれ、坑内見学では幾つかので採集ができまた古い標本を頂戴することができた。
我々の主目的のテルルヒ鉱物につき尋ねると「テルルヒはもう無い、でも一寸面白いものがある」と云って素晴しい輝蒼鉛鉱の塊を出してくれた。今回は稼行中の手稲で採集・頂戴した思い出深い標本を紹介したい。
- ①手稲石で自然テルル脈中から産し独特の青色針状結晶
- ②テルルヒ産と伝わる自然テルルヒと重晶石を伴うテルルヒ石(黄色部)
- ③鳥谷部ヒ産ルソン銅鉱で独特の色調を持ち、硫砒銅鉱の結晶もみられる
- ④滝ノ沢ヒ産輝蒼鉛鉱で一見自然テルルヒの様だが、数cmに達する結晶である
- ⑤滝ノ沢ヒの鉱脈晶洞部の四面銅鉱で、有名な銭亀沢鉱山産にも劣らない
【寄稿】坂本憲仁(BS45)