趣味の話題 ~「楽石庵閑話」~【第41話】地球温暖化と原油

「楽石庵閑話」~【第41話】地球温暖化と原油

現在、喫緊の課題である地球温暖化、その原因は化石燃料の大量消費で排出される二酸化炭素とされている。ここで留意すべきは、石炭・石油共この成因が有機説(生物起源)とされている点であろう。石炭が植物由来とされるのは直感的に理解できるが、石油の起源が太古の海の放散虫等海洋生物の遺骸と云われても何となく釈然としない。無論、石油の起源については地球深層ガスとする無機説もあるが、今のところ旗色は悪いようだ。

もし石炭・石油の起源が全て生物由来とすると、その炭素分は元々大気中に存在していた二酸化炭素が数億年をかけて生物に取り込まれ、その後、石炭・石油になり、それを現在極めて短期間で大気中に再放出しているだけとなる。もし火山性ガス或いは地球深層ガスが多量に放出されて、大気中の二酸化炭素総量が増えていれば、今後二酸化炭素濃度は地球史上例を見ない高濃度になり、温暖化に歯止めがかからないと云う理屈も成り立つ。今回は国内産原油を紹介しよう(八橋油田産がなく何とも残念である)。

【新津市新津油田金津鉱場】

新津油田は市の南東丘陵地帯に分布する出油地帯の総称で、幅約6Km、延長16Kmの広い範囲にわたっていた。金津鉱場の油田構造は、中新世金津層の金津背斜の断層部に溜った珍しい含油層で、深度は300~1500m、油質はパラフィン分の少ない重質油とされる。丸泉石油興産により平成8年まで採油が行われたが、現在は一帯が「石油の里公園」として整備された。

【小千谷市越路原ガス田片貝鉱場】

1960 年に石油資源開発により発見され、その後北側でINPEXの開発した南長岡ガス田と共に越路原ガス田とも呼ばれ国内最大級とされる。越路原は火山岩型と云われるトラップ構造を形成し、地下約4千mの深層ガス田は中新世寺泊層中の流紋岩や緑色凝灰岩を貯留岩とする。貯留層の温度が150度以上と高く、原油は本標本の如くコンデンセート(ナフサに近い成分)化している。

【由利本荘市由利原鉱場】

由利原台地は鳥海山北麓の火山噴出物により広く覆われた台地で、1981年に中新世の玄武岩層より初めて産油に成功し、その後複数の玄武岩油層・ガス層が確認され1984年12月より生産が開始された。貯留岩は主に中新世の海底噴出火山岩(枕状溶岩)で、黒鉱胚胎層としても知られる女川層が主要な根源岩と考えられている。天然ガスに伴う典型的な原油である。

【寄稿】坂本憲仁(BS45)

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