趣味の話題 ~「楽石庵閑話」~【第48話】褐鉄鉱(針鉄鉱)

「楽石庵閑話」~【第48話】褐鉄鉱(針鉄鉱)

第44話で磁鉄鉱を紹介した際に、s30年代までの国産鉄鉱石の内訳は、磁鉄鉱40%、褐鉄鉱40%、砂鉄20%で、磁鉄鉱と同等程度の褐鉄鉱が供給されていた状況を記した。褐鉄鉱の大半は北海道の沈殿性鉱床で採掘されて富士鉄室蘭製鉄所に供給され、代表的な鉱床は第四紀の鉱泉から沈殿した倶知安・喜茂別鉱山、火山活動により硫化鉄鉱床・硫黄鉱床と共に形成された、鉱泉沈殿型及び風化残留型鉱床等が層状に胚胎する虻田鉱山が有名であった。なお褐鉄鉱の名称は鉱物名としては使われておらず、針鉄鉱が正式鉱物名である。

今回紹介する倶知安鉱山は、第四紀火山活動に伴う鉱泉等の含鉄水から化学的作用等で沈殿した褐鉄鉱鉱床で、周辺には同様の鉱床が多数分布する。本鉱山もs14年に旧日鐵の鉱山部門が独立して、日鉄鉱業としてs44年まで稼行された。鉱床は下部の塊状鉱床と上部の層状鉱床に大別され、付近には硫化鉄鉱床も存在する。喜茂別鉱山は上盤を段丘砂礫層に覆われた沈澱性褐鉄鉱鉱床で、砒素を数%含み問題となっていた。

(1)俱知安鉱山:塊状鉱の葡萄状を呈して稍々硬堅な鉱石である。

(2)俱知安鉱山:堆積層中の褐鉄鉱化した木の葉の化石。

(3)喜茂別鉱山:脆い黄褐色粉状の部分でスコロド石脈もみられ、砒素含有量の多い部分。

【寄稿】坂本憲仁(BS45)

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