「楽石庵閑話」~【第45話】黄鉄鉱
黄鉄鉱はありふれた鉱物で、金属鉱床は無論として堆積岩を含む色々な岩石から産し多様な形態が知られる。そこで今回は黄鉄鉱の結晶を取り上げてみよう。国内での立派な黄鉄鉱結晶産出は明らかな東高西低で、鉱床により次のような特徴がある。
①東北グリンタフ地域の黒鉱・浅熱水性鉱床からは、綺麗な結晶を多産した。一方、中国・四国そして九州からの黄鉄鉱結晶産出は極めて限定的である。
②スカルン鉱床の釜石型・神岡型鉱床からは黄鉄鉱自体余り産せず、秩父鉱山及び和賀仙人・赤谷・飯豊鉱山の赤鉄鉱鉱床からは黄鉄鉱結晶が知られる。
③激しい動力変成を受けた別子型鉱床からは黄鉄鉱鉱石が広く産するが結晶の産出は珍しい。
④明延・生野・多田と云ったゼノサーマル鉱床からも、何故か立派な黄鉄鉱産出を聞かない(足尾鉱山からは曲面黄鉄鉱と称される、白鉄鉱を含む特異な結晶が知られる)。
黄鉄鉱結晶で知られる代表的鉱山を、鉱床別に紹介する。
■スカルン鉱床■
-
【豊栄鉱山】
九州で大きな結晶はここだけ
-
【秩父鉱山】
大黒坑産だが色々な結晶形がある
-
【飯豊鉱山】
赤谷も同様に6面体結晶のみ
■浅熱水脈状鉱床■
-
【尾小屋鉱山】
早期鉱化作用で石英脈中に晶出
-
【尾去沢鉱山】
6面体に次いで多い5角12面体結晶
-
【尾太鉱山産】
5角12面体結晶が多い
■黒鉱鉱床■
-
【鵜峠鉱山】
山陰の黒鉱鉱床で石膏を採掘した
-
【釈迦内鉱山】
黄鉱中の成長模様を示す結晶
-
【松木鉱山】
巨大な6面体結晶を産した
【寄稿】坂本憲仁(BS45)