趣味の話題 ~「楽石庵閑話」~【第49話】小笠原諸島の火山岩

「楽石庵閑話」~【第49話】小笠原諸島の火山岩

楽石庵の収蔵標本は、国内の著名鉱山産の鉱石とその脈石鉱物類を主体としており、造岩鉱物等はあまり集められていない。今回紹介の小笠原諸島の火山岩には、銅鉱物が特徴的に含まれることが以前から知られており、小笠原伊豆火山弧のマグマは金属元素、特に銅の含有量が高いとされる。海底火山のマグマの性質は海底火山性硫化物鉱床の探査により各地で調査が進んでおり、島弧型の火山性塊状硫化物を形成する条件が小笠原伊豆火山弧一帯で確認されて黒鉱鉱床との類似性が指摘され、将来の海底鉱物資源として注目されている。この意味で小笠原諸島の火山岩類から産出する銅鉱物は、興味深い産状を呈すると云える。

①三宅村赤場暁瓢箪山産灰長石

三宅島玄武岩中の灰長石に橄欖石が含まれ、また自然銅ラメラの存在により赤色を呈するこ とはよく知られている(Murakami 1992)。本標本は玄武岩中の灰長石赤色結晶で淡黄緑色の橄欖石も含む。なお1962年の噴火割目から流れ下った溶岩流中からは、銅分により綺麗な桃~赤色を呈する灰長石結晶を産する。

②大島町 三原山 裏砂漠産黒銅鉱

伊豆小笠原弧の火山岩中には銅分が含まれ、この玄武岩スコリア中の黒銅鉱も火山昇華物として生成されたものである。黒銅鉱は銅鉱床の二次鉱物として黒色土状を成すことが多いが、本標本は光沢のある鱗片状の結晶で、最初の発見地イタリアヴェスヴィオ火山の産出品に近い。

③青ヶ島村湯浜産バナジン銅鉱

安山岩母岩の表面に,二次鉱物として黄緑色球状のバナジン銅鉱が珪孔雀石を伴ってみられる。

【寄稿】坂本憲仁(BS45)

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