趣味の話題 ~「楽石庵閑話」~【第1話】銚子滝鉱山の輝安鉱

趣味の話題 ~「楽石庵閑話」~

今年はコロナ禍の影響で支部行事も軒並み中止となり、支部HPへの投稿も激減・・・何かの足しにと拙文「楽石庵閑話」を投稿します。

楽石庵は中1から60年に渡り収集した化石・鉱物標本の展示室で、石友・酒友etc.多くの知人が立ち寄られる都心の「大人の隠れ家」です。お暇な折にお読み頂ければ幸いです。

楽石庵閑話【第1話】 銚子滝鉱山の輝安鉱

馬齢を重ねハンマーを振るう気力も体力も無くなった昨今、市場に出される古い鉱石標本を探すのが楽しみとなり適宜ご紹介する。著名国産鉱物で入手困難度トップ5に絶対入るのが優量鉱山産輝安銅鉱で、伊予松山から上尾峠へ上がる山道沿いには万年・優量・銚子滝等々多数の鉱山が分布しており、仕事でこの附近に産する陶石調査の折に廃坑跡に一寸立ち寄っていた。

残念ながら優量はズリが埋められ採集不可能、旧道に貯鉱用ホッパーの残っていた銚子滝は何も無く、要するに含銅硫化鉄鉱床を切る輝安鉱脈→輝安銅鉱は夢と消えた。ところが最近、懇意にしている店で銚子滝鉱山産の輝安鉱を見せられ大感激!残念ながら含銅硫化鉄鉱中の輝安鉱脈ではないため輝安銅鉱は含まれないが、それでも弘法師や市ノ川とは違う三波川帯中の輝安鉱標本として貴重なものと即断・購入した。

輝安鉱を含む石英脈は写真の如く特段のものではないが、島崎先生の「日々雑感(59)試料整理こぼれ話 銚子滝鉱山の輝安鉱」を読むとこの標本の価値も違ってくる・・・市場に出てくる古い標本の価値を馬鹿にしては駄目と強く思います。

【寄稿】坂本憲仁(BS45)

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