趣味の話題 ~「楽石庵閑話」~【第21話】自然金

「楽石庵閑話」~【第21話】自然金

金メダルラッシュに沸いたオリンピックを記念して、「黄金の国ニッポン」を象徴する国産自然金を紹介しよう。

国内の金山と云えば金属鉱石の坑内採掘を唯一行っている菱刈鉱山が知られるが、菱刈鉱床は金属鉱業事業団の広域地質構造調査により1981年に発見、1985 年に採掘が開始されている。本鉱床は世界的にも第一級を誇る大規模・高品位の金鉱脈鉱床で、その発見は金鉱床探査の長年にわたる技術的蓄積の成果とされる。1997年には鉱山の累計産金量が佐渡金山(83トン)を抜き、国内トップとなった。2020年3月時点の累計産金量は248.2トン、これは国内の主要金山全ての合計量を上回る大規模なもので、新鉱脈の発見でさらなる産金量の増加が見込まれている。

それでは国内を代表する自然金を紹介する。

【菱刈鉱山(鹿児島県)】

筋状の銀黒に伴う「トジ金」と呼ばれる自然金で、微粒の自然金が集まっている。

【赤石鉱山(鹿児島県)】

南薩型と呼ばれる金鉱床で、初成の含金黄鉄鉱が分解しコロイド金又は錯イオンとして凝集し金粒となった。現在も露天掘りで珪酸鉱を採掘中である。

【中瀬鉱山(兵庫県)】

輝安鉱を伴う石英脈から自然金の美しい結晶を産し、富鉱部は切羽に鍵をかけて厳重に管理されていた。

【清越鉱山(静岡県)】

銀鉱物の産地として知られ、銀黒中に自然金(銀の多いエレクトラム)が多数含まれていた。

【秩父鉱山(埼玉県)】

鉄主体のスカルン鉱床で、大黒坑の閃亜鉛鉱中から「糸金」と称される最大10cmに達する自然金を産した。

【佐渡鉱山(新潟県)】

歴史的によく知られた大金山で、戦後も珪酸鉱を採掘していたが、銀黒に伴い僅かに自然金がみられた。

【大谷鉱山(宮城県)】

奥州の金を代表する金山で、金-石英脈からテルル蒼鉛鉱を伴って綺麗な自然金を産した。

【千歳鉱山(北海道)】

自然金では鴻之舞鉱山より知られ、「馬糞金」と称される薄茶色の微粒自然金集合を産した。

【寄稿】坂本憲仁(BS45)

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