趣味の話題 ~「楽石庵閑話」~【第69話】荒川鉱山の紫水晶

「楽石庵閑話」~【第69話】荒川鉱山の紫水晶

今回は趣向を一寸変えて、私が趣味で集めている古い国産銘柄標本の話題を紹介しよう。

小林秀雄は「骨董はいじるもの、美術は鑑賞するもの」と喝破しているが、国産鉱物標本も手元に置き手に取ってその魅力を楽しめれば、もはや骨董品と云ってよい価値があると云える。一方で鉱業博物館のように展示ケースに置かれている標本は、直接触れることはできずガラス越しに鑑賞するだけの、まあ一種の美術品と云えるだろう。さて楽石庵で展示している見栄えの悪い古い鉱石標本類は、手でいじり回しその感触も楽しむ骨董品の類と考えている。でも少数だが観賞用の古典的銘柄標本もあり、その入手の経緯も含めて説明したい。

s40年代黒鉱ブームに乗って廃坑や休山中のヤマの再調査が北鹿各地で行われ、休山した荒川鉱業畑鉱山でも再調査が始まっていた(同じ荒川鉱業の亀山盛(きさもり)鉱山は廃坑になり久しく、三菱金属鉱業が直接調査を行っていた)。私は同級生のS君と共に訪れ、鉱専卒の先輩に色々お世話になった。先輩はs15年荒川鉱山休山時にお勤めだったとかで、稼行中に収集した同鉱山産の素晴らしい鉱物コレクションを拝見することが出来た。また同鉱山産鉱物標本を幾つか頂戴し、今回は嗽沢奥産と伝わる黄銅鉱脈の綺麗な紫水晶を紹介する。

荒川鉱山跡の巨大なズリは脈石の水晶産地として有名で(現在は採集禁止)、写真のような「トッコ」と呼ばれる短柱状の水晶を採集出来たが、黄銅鉱脈に伴う紫水晶はこれらとは形状(成長環境)が異なるようである。

かつて国内鉱山が多数稼行されていた時代、現場では鉱山学部出身の先輩諸氏から色々とご支援を受けた。国際資源学部に生まれ変わった現在、在学生各位は建学の精神を忘れず新たな飛躍を期待するものである。

【寄稿】坂本憲仁(BS45)

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