趣味の話題 ~「楽石庵閑話」~【第6話】錫石

「楽石庵閑話」~【第6話】錫石

錫は世界的にも産出地の偏在が激しい鉱物で資源の枯渇が心配されているが、本邦でも前回説明した花崗岩系列の山陽−苗木帯のチタン鉄鉱系列花崗岩に錫鉱山が集中している。

稼行対象となるのは錫石(SnO2)で、風化に強く比重も重いため砂鉱として苗木地方では古くからペグマタイト周辺の堆積層から採掘された。また初生鉱床としては①石英脈 ②スカルン鉱床 ③多金属型鉱床 からの産出が知られ、多金属型の生野や豊羽鉱山からは桜井鉱や豊羽鉱等の含Sn新鉱物や希産鉱物を色々と産したことでマニアの注目を集めた。

また1964年に豊栄鉱山からの産出が報告され稀産鉱物として知られるヘルツェンベルグ鉱は、名称とは裏腹にSnSと云う単純な組成で、所蔵標本中にもヒョットしてと期待した豊栄産の鉱石もあったが、石友からは悉く否定され意気消沈・・・この結末は稀産錫鉱物類と共に次の機会に譲ろう。

【寄稿】坂本憲仁(BS45)

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