趣味の話題 ~「楽石庵閑話」~【第10話】脈石としての緑泥石

「楽石庵閑話」~【第10話】脈石としての緑泥石

鉱床の脈石或いは母岩の変質鉱物として産出する緑泥石は「 A4-6Z4O10(OH,O)8 」の一般式で表される化学組成と複雑な層状構造を持つ珪酸塩鉱物で、現在では緑泥石グループとして多数の鉱物が知られている。

○ 尾去沢鉱山産シャモス石(鉄緑泥石):

北鹿の浅熱水性鉱床からは、「ナルミ鉱」と呼ばれる赤鉄鉱と緑泥石を伴う金鉱石が産出した。尾去沢では特定の黒色頁岩の断層に沿って、葡萄状のシャモス石中に暗赤色の球状赤鉄鉱がみられ、熱水鉱液の周期的な沈殿現象を示すとされる。

○ 白滝鉱山産クリノクロア:

本鉱山は典型的別子型鉱床で、鉱床は三波川帯低温高圧型変成帯の緑色片岩相付近で変成された結晶片岩中で、圧縮変成により緑泥石の片理が形成されている。この片理に沿って割ると真珠光沢の緑泥石がみられ、細かい黄鉄鉱を含む所謂「ガリ鉱」である。

○ 諏訪鉱山産硬緑泥石:

日立鉱山一帯は日立変成岩類が分布し、白亜紀中圧型阿武隈変成作用で緑色片岩相の広域変成を受けた、大雄院層中の硬緑泥石斑状変晶を含む緑泥石白雲母片岩が有名である。

○ 尾平鉱山産クーク石:

尾平は各種スカルン鉱物で知られるが、蝙蝠坑から産する「まりも水晶」の球状緑泥石内包物は、最近の研究でリチウムを含むクーク石とされている。

【寄稿】坂本憲仁(BS45)

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