趣味の話題 ~「楽石庵閑話」~【第16話】鉱山所在地名は?

「楽石庵閑話」~【第16話】鉱山所在地名は?

鉱石標本の鉱山所在地名は何処にする?意外に難しい問題なのである。

例えば花輪鉱山、「日本鉱産誌-b」では秋田県鹿角郡花輪町と採鉱事務所所在地を採り、「日本の鉱床総覧」では岩手県二戸郡安代町と総合事務所・選鉱場所在地を表示している。また別子鉱山は主要文献では所在地名は下記の通りで、マイントピア別子端出場の所在地新居浜市立川町端出場には大字角野の地名はない。

日本鉱産誌(Ⅰ-b) 1956年:新居郡角野町端出場(編入前の旧地名)

日本の鉱床総覧 1965年:新居浜市角野町

日本鉱業会誌 坑内採掘号 1967年:新居浜市角野端出場 である。

この地域の地名変遷を調べると、1889年町村制施行により新居郡角野と立川山の旧二村が合併し新居郡角野村として発足、角野(すみの)と立川山(たつかわやま)は大字となり大字角野に役場をおいた。さらに1939年に角野町となり、1959年新居浜市に編入後角野新田町、角野及び立川町等の現町名になったようである。立川は江戸時代から別子と新居浜とを結ぶ物資の中継所で中宿と呼ばれ、国領川沿いの鉱山施設が細長く並んでいた旧角野町一帯が立川町に編入されたと思われる。

そんな事情で標本ラベル地名は、花輪鉱山産は通洞坑口のあった花輪町、別子鉱山産は鉱山関係者の角野の地名への拘りを思い昭和5年から採鉱事務所のあった角野端出場としているが如何であろう。

【寄稿】坂本憲仁(BS45)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加